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あなたが残すもの!

  • 執筆者の写真: 耕司 大平
    耕司 大平
  • 2022年5月28日
  • 読了時間: 7分

2022年5月28日(土)  「あなたが残すもの!」  LT(Loving Time)大平耕司

 道は天地自然の物にして、人は之を行ふものなれば、天を愛するを目的とす。天は、人も我も同一に愛し給ふゆえ、我を愛する心を以て人を愛する也。(南洲翁遺訓より)

「日本人で尊敬する人物は誰か」と聞かれて、この人の名前は必ず出てきます。明治維新の最高の偉勲者という面もありますが、生き方そのものが高潔で雄々しく、最後の内戦となった西南戦争において自決した“悲劇の人”という思いが、同じ日本人の血の中に訴えるものがあるのだと感じます。この人の名は皆様ご存じの西郷隆盛(1827~77)です。 

西郷さんは、鹿児島城下加治屋町の生まれ、通称・吉之助、号は南洲です。少年時代に喧嘩で右ひじを負傷したころから武術を諦め、学問をするようになりました。16歳で農政担当書記官補助である郡方書役助に任命されました。のちに藩主島津斉彬に抜擢され江戸へ行きます。庭方役として国事に奔走しました。しかし斉彬が急死します。その後帰郷しますが、様々な苦難のすえ、藩主島津久光と対立し、沖永良部島に流罪されます。元治元(1864)年2月に赦されて上洛すると禁門の変、第一次長州征伐などで活躍します。その後、討幕派に転換して、薩長同盟、王政復古、戊辰戦争などを指導し、江戸城を無血開城させるなど維新の原動力となりました。維新後も廃藩置県の断行で力を発揮しましたが、征韓論を唱えて敗れ、帰郷します。明治十(1877)年の西南戦争で敗れ、城山で別府晋介の介錯によって最後を遂げました。

 キリスト教無教会派の内村鑑三は、「武士の最大なるもの、また最後のもの」として、西郷隆盛の、気概、生活ぶり、人生観に惜しみない賛辞を贈っています。そして、このように述べています。「まず、西郷ほどの生活上の欲望がなかった人は、他にいなかったように思えます。日本の陸軍大将、近衛総督、閣僚の中で最有力でありながら、西郷の外見は、ごく普通の兵士と変わりませんでした。西郷の月収が数百万円であった頃、必要とする分は15円で足り、残りは困っている友人なら誰にでも分け与えられました。東京の番町の住居はみすぼらしい建物で、一カ月の家賃は三円であったのです。その普段着は薩摩がすりで、幅広の木綿帯、足には大きな下駄を履くだけでした。この身なりのままで西郷は、宮中の晩餐会であれ、どこへでも常に現れました」。

 冒頭の言葉は、西郷さんの『敬天愛人』の思想です。まさしく、聖書にある『心を尽くし、精神を尽くし、力を尽くして、あなたの神である主を愛しなさい、また、隣人を自分のように愛しなさい』(ルカ10:27)と同じです。そして、西郷さんは、このようにも述べています。『人間が文明を開発するということは国家や社会のためである。だが、そこには「道」がなければならない。電信を設け、鉄道を敷くことは、たしかに耳目を驚かせる。しかし、なぜ電信や鉄道がなくてはならないのかといった必要の根本を見極めておかなければ、いたずらに開発のために追い回されることになる。なんでも外国の真似をして贅沢な風潮を生じれば、人の心も軽薄に流れ、結局は日本そのものが滅びてしまう。・・・文明とは「道」の広く行われることであって、宮殿の荘厳さや、衣服の美麗さや、外観の華麗さをいうのではない。自分はかつて、西洋は野蛮だと言ったことがある。聞いた人は、西洋は文明国だといって議論になったことがある。私がそう言った理由は、そこに「道」がないからだ。もし本当の文明人ならば、発展途上の国々に対してあれほど無慈悲で残忍なことをするはずがないと答えた。相手はついに黙ってしまった』。当時の英国が中国に仕掛けたアヘン戦争の非情さの事ですが、現代も情報戦、経済戦で仕掛けています。

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今日私に与えられた聖書のメッセージです。

Ⅰコリント13章13節『それゆえ、信仰と希望と愛、この三つは、いつまでも残る。その中で最も大いなるものは、愛である。』・・・私たちは、過去の偉人や、世の成功者や立派な人物を見る時に、自分自身もそのようになりたいと感じます。そして、そうなるためには、その人がどのようなことをしたのかを調べ、一生懸命にまねをしてその人に近づこうと努力をするものです。つまり、己がこの世の主人公になるべく、そのためにモティベーションがわき、日々の歩みが可能になるのです。普通の人の歩みはそれで充分なのですが、私たち信仰者の歩みは、そうではありません。主人公ではなく、わき役に徹するのです。イエス様は、そういった意味で、私たちの生きるモデルとして姿を示してくださいました。私たちがこの世に命を与えられたのは、神のみ旨を知り実践し、それを後世に残すためです。そのために命を燃やすのです。使命感といったものでしょうか。

イエス様は、ご自分の使命を述べられました。『私が天から降って来たのは、自分の意志を行うためではなく、私をお遣わしになった方の御心を行うためである。私をお遣わしになった方の御心とは、私に与えてくださった人を一人も失わないで、終わりの日に復活させることである。私の父の御心は、子を見て信じる者が皆永遠の命を得ることであり、私がその人を終わりの日に復活させることだからである。』(ヨハネ6:38~40  私たちは、自我が芽生えたころ、この世に希望を持って船出します。己の夢を見出し、それに向かって努力をすることは、とても有意義なことのように思われます。しかし、その夢を果たすための時間が贅沢に残されているでしょうか。世の一握りの人達は、たまたま、その時の流行や、社会の波にうまく乗って、立派できらびやかな人生を送り、成功理に終わることがあるかもしれません。でも、その他大勢の人々はそうではありません。私たちの人生の歩みには、常に障害が立ちはだかります。夢半ばにして、病に倒れ、あるいは災害や事故、家族の様々な問題に遭遇し、将来の夢を砕かれることは多々あります。それが、大方の人生です。イエス様は、そのような人間の欲望中心の人生願望に『待った』をかけられました。つまり、真の人生の歩みを教えられたのです。神様が私たちを造られた本来の目的を教えられたのです。

イエス様の弟子の一人、パウロがそれを端的に表しています。『信仰と希望と愛』という文字で、イエス様の使命を示しました。つまり、イエス様の本質です。これら三つが永遠に残る要素だというのです。言い換えるなら、私たちの使命がこの三つに要約されるのです。まず初めに、『信仰』ですが、これは、イエス様が神様の御心をつねに行われたということに由来します。イエス様は、父なる神様の言動をいつも行われました。御自分の意志ではなく、神様の意志を実行なさったのです。ですから私たちも己の夢を実現するべく生きているようですが、それは、実は神のみ旨を行うことに他ならないというのです。そして、二番目が『希望』です。それは、神様が最初に私たちの祖先のアダムとエバに与えられた『永遠の命』のことです。そのために、イエス様が私たちの滅びの身代わりになられました。それは、『罪の贖い』を含む希望そのものです。そして最後が『愛』です。 

愛とは、罪ある者に与えられた逆転の救いのことを指します。つまり、自力では絶対不可能な罪人の永遠の命への復活です。このようないわゆる『福音』(良い知らせ)を伝えることに大きな意義があります。隣人や家族に『福音』を残すことがイエス様の私たちに与えられた、最大の贈り物です。この『愛』が最も大いなるものなのです。

簡単にいうならば、イエス様の本質は、『信仰と希望と愛』であり、私たちの使命も、この三つの為に生きることに他なりません。私たちの内にある様々な欲求を満たすためには、この世はあまりにも時間が短すぎます。ですから、イエス様はその喜びは、永遠の御国においてゆっくりと、思う存分、果たせることを約束してくださいました。天国に行っても、私たちの生活はあるし、好きなことに専念できるし、この世に比べてはるかに勝った環境があることを示されました。ですから、私たちのこの世での本分は、『信仰』に生きて、『希望』を持ち、『愛』を伝え残していくことです。あなたの人生の足跡は、あなたの銅像ではなく、財産でもなく、地位でも名声でもないことを覚えてください。そんなものはどうでもよく、イエス様の愛の花と香りがそこに際立っていればそれでいいのです。

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