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いのちの捨て場所!

  • 執筆者の写真: 耕司 大平
    耕司 大平
  • 2023年1月14日
  • 読了時間: 6分

2023年1月14日(土)  「いのちの捨て場所!」  LT(Loving Time)大平耕司

母親の登毛はその願いのために、卵を一切食べないことを神様と約束しました。山陽山陰の背骨に近い山間にあった村は、海の魚などもちろん無く、ご馳走といえば、川魚と野菜を除けば鶏の卵くらいのものでした。軍平は小さい頃から、自分のために母親が卵を食べないのを見て育ちました。しかし、貧しさのために、軍平は9歳の時、質屋の伯父のところに養子に出されます。軍平は、学校に行かせてもらい勉学に励みますが、15歳の時に質屋を継ぎたくない、もっと勉強がしたいと家出をして東京に行きます。当然養父からは縁を切られ、印刷工として働きながら、欧米から入ってきた新しい学問を学びました。

ある日、キリスト教が精神の世界で人を救うと知り、新島襄を慕い、京都にある同支社に入学します。在学中に出会った岡山孤児院の石井十次に強い影響を受け、濃尾地震で孤児の救済など熱心に関わります。新島襄の死後、近代科学の発展の影響がキリスト教にも及びます。聖書を客観的に検討しようとする自由主義神学の影響を同志社は受けていきます。軍平は自分の信仰について悩みます。そして、彼は学問の神学よりも、人を救うキリスト教に生きようと決心し、1894年(明治27年)に同志社を去ります。岡山での伝道活動や石井十次の孤児院で働きながら、自分の道について悩み、考える日々を過ごします。

その頃、イギリスから救世軍が日本に来て活動を始めました。信仰による救いの前に、実生活を救おうとする救世軍は、まさに軍平の目指す理想でした。早速、救世軍に入隊した彼は水を得た魚のように、歴史に残る活動を始めます。日本人最初の士官(伝道者)となり、分かりやすいたとえで聖書の教えを書いた『平民の福音』を刊行しました。キリスト教伝道者として、大衆に分かりやすい福音宣教に情熱を傾けます。まだ社会福祉という言葉のなかった時代です。苦しむ人がいたらまず手を差し伸べて行動に移す軍平の社会事業は多岐に渡りました。貧しさのゆえに親に遊郭に売られた少女を救い出そうとする娼妓(しょうぎ)の自由廃業運動をはじめとして、職がない人達のための労働紹介所の設置、歳末慈善鍋(社会鍋)の開始、児童虐待防止運動の開始、結核療養、婦人・児童保護、貧困者医療なども携わり、また救世軍ブース記念病院、救世軍結核療養所を開設しました。

おのずと彼の活動が全国に知れ渡ります。軍平は故郷に帰り、「もう安心して卵を食べてください。栄養のあるものを食べて長生きして私の行く末を見守ってください」と母親の登毛に言いました。しかし、母親は死ぬまで食べずに生涯を閉じました。山室軍平は多くの愛に支えられて生きましたが、その中で、最も大きな心の支えとなったのは母親登毛の愛でした。母親の愛は、彼の想いを生涯支え続けました。軍平は、母親の願い通り、人の役に立つ人になりたいと思い、生涯をその思いに捧げ、神に仕えました。

山室軍平はその後も、1924年(大正13年)に勲六等瑞宝章を受章します。1926年(大正15年)には、救世軍日本司令官となります。1940年(昭和15年)に急性肺炎のために67歳で神に召されました。*************************************************

さて、今日私に与えられた聖書のメッセージです。

ヨハネ4章13、14 節『イエスは答えて言われた。「この水を飲む者は決して渇かない。私が与える水はその人の家で泉となり、永遠の命に至る水がわき出る。」』・・この記事の背景は、イエス様と弟子の一行が、スカルという町にあるヤコブの井戸に立ち寄った時の出来事です。弟子たちは町に食べ物を買いに出かけて、イエス様ひとり井戸のそばに座っておられました。そこへサマリアに住む女が井戸に水を汲みにやってきました。そうすると、イエス様はその女に「水を飲ませてください」と頼みます。女は驚いた様子で「ユダヤ人のあなたがサマリアの女に水を飲ませてほしいと頼むのですか」と言います。なぜ驚いたかというと、ユダヤ人とサマリア人は犬猿の仲だったのです。神の民イスラエルは、イエス様が生まれる700年も前のダビデ王からあとの時代、南北に分かれて敵対していました。イエス様は言われます。「この水を飲む者は決して渇かない。私が与える水はその人の内で泉となり、永遠の命に至る水がわき出る」。すると女は、「主よ、渇くことがないように、また、ここにくみに来なくてもいいように、その水をください」と言います。すると、イエス様は、唐突に「行って、あなたの夫をここに呼んで来なさい」と言われると、女は答えました。「私には夫はいません」。すると、「それはそのとおりだ。あなたには五人の夫がいたが、今連れ添っているのは夫ではない。あなたはありのままを言ったのだ」と女の秘密を暴露されます。なぜ、イエス様は急にこのような、女にとって恥の話を持ち出されたのでしょうか。女を叱責し辱めるためでしょうか。そうではありません。それは、この女が「渇くことがないように」と言ったことに対して、その真の原因を表に出されたのでした。次から次へと男を替えていく生活の中に、この女を苦しめている「渇き」を見出しておられたのです。人間の誰もが持っている「渇き」です。人はみな心の中に満たされない「渇き」を持っています。その「渇き」を何とか満たそうとして、色々なことをやります。趣味に没頭したり、仕事に一生懸命になったり、欲望を満たすことに熱中したり、でも、「渇き」は満たされず、次から次とその求めはエスカレートしていくのです。それがどうしても満たされないので、人は鬱に陥ったり、病に伏せたり、自暴自棄になり周りに迷惑をかけてしまったりと、問題が深刻化していきます。イエス様をその真の原因を指摘されます。・・・山室軍平が、若い時に次から次へと仕事を替え、転々としていたことがあります。その時にある人が、あの山室という青年はいい人だけど、どうも気が変わりやすい人のようだと批判しました。それを聞いた軍平は、「私はいのちの捨て場所を探しているのだから、それが見つかれば変わらぬ」と言いました。そして実際に救世軍に死に場所を見つけた時に、それからのち、その場所を動くことがありませんでした。私たち人間も同じです。どこでほんとうに自分のいのちが満たされるのか、求め続けています。どうしても満たされることない思いを抱いたままで、ある人は、この女のように自分の欲望に駆り立てられるようにして次から次へと異性を求めるかもしれません。職業を転々と変えているかもしれません。宗教を次々に取り替えている人もいるでしょう。或いは、引きこもり何もしないでいる人がいるでしょう。しかし、いつまでたっても渇きは癒されません。そういう渇きの満たしは、イエス様からしか得られないのです。

女は、突然悟ったかのように言い出します。「主よ、あなたは預言者だとお見受けします。・・私はキリストと呼ばれるメシアが来られることは知っています。その時一切のことを知らせてくださいます」。つまり『自分の渇きは救い主が来られる時なのですが…』と自分が男を次々に替えながら、本当は真の神様が欲しかったのだと悟ったのです。イエス様がそれに答えられます。「それは、あなたと話をしているこの私である」。『いのちの捨て場所』、つまり生涯を投げ打つもの、それはイエス様に従い通すということです。

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