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  • 執筆者の写真耕司 大平

この時に生きる!

2023年11月11日(土)   「この時に生きる!」  LT(Loving Time)大平耕司

 バビロニア王朝を滅ぼしたペルシャ王国ですが、クセルクセス王の時代になって、王妃ワシュティが王の逆鱗に触れて退けられ、王妃を再び選ぶことになりました。その時に不思議な導きにより、ユダヤ人のエステルが王妃になりました。エルサレムへ帰還しなかったユダヤ人の一人です。しかし、エステルは養父より命じられて自分が属する民族とその親元を明かしませんでした。その義父であるモルデカイは王宮に仕えていました。ある日、彼は王の寵臣ハマンに敬礼することを拒みました。怒ったハマンは、その復讐として王国全土にいるユダヤ人の虐殺を企て、王に許しを得ました。ほどなくして、エステルはこの計画を義父モルデカイから知らされて、王に会いに行くように頼まれます。しかし、王が呼ばない限り会うことは不可能です。王の許可なく王室に行けば、死刑です。でも、一つだけ例外があり、王がその時に金の笏を差し出せば許されます。その時は一カ月の間、エステルは王からの召しはありませんでした。ですから、彼女は王に会うことは難しい旨を伝えます。モルデカイはそれに対して、「もし、この時にあなたが黙っているならば、ユダヤ人への解放と救済は他の所から起こり、あなたとあなたの父の家は滅びるであろう。このような時のためにこそ、あなたは王妃の位に達したのではないか」(エステル4:14 )と返しました。それでエステルは、「あなたは行って、スサにいるすべてのユダヤ人を集め、私のために断食してください。三日の間、夜も昼も、食べても飲んでもいけません。私も私の侍女たちも、同じように断食します。このようにしてから、法に背くことですが、私は王のもとに行きます。もし死ななければならないのであれば、死ぬ覚悟はできております」(同4:15)とモルデカイに伝えました。しかし、思いのほか、王は上機嫌でエステルの謁見を許し、それ以上に、「王妃エステルよ。どうしたのか。あなたが臨むのであれば、国の半分なりともあなたに与えよう」(同5:3)と声をかけられました。エステルはほっと胸をなでおろすと、王と大臣ハマンを酒宴に招く旨を伝えました。そして、酒宴に招かれたハマンは始終上機嫌でした。その帰途、モルデカイの姿を見た彼は、怒りがこみ上げてきました。家でそのことを妻や友人に伝えると、モルデカイを木に吊るして殺すという事を提案され、王に進言するように言われます。ハマンはそれを気に入り、柱を立てさせました。一方王は、その夜眠れないままに、ふと過去の宮廷日誌を持って来させ、読み上げさせました。そこで王は、かつて、王を殺そうと謀っていた二人の宦官を告発したモルデカイの記録を聞き、彼が命の恩人であることを知ります。その翌日、ハマンがモルデカイの処刑許可を得ようと現れたとき、王は、栄誉を与えようと思う人にどうしたらよいか、と尋ねました。王とさらに王妃にまで気に入られたと有頂天になり、自分が次期の王になると傲慢の虜になっていたハマンは、それが自分のことと思い込みました。ハマンはその内心をこのような言葉で王に返します。「その者に、町の広場で王が着るのと同じ王家の衣装を着せて、王冠をつけた王の馬に乗せ、町中の民にそれを知らせるように」(同6:7∼9参照)と喜々として答えました。果たして、それがモルデカイの上に成就し、盛大に表彰されることになりました。ハマンは落胆します。エステルは再び王とハマンを酒宴に招きました。この場でエステルはハマンの陰謀を打ち明け、ついにハマンはモルデカイを吊るすために用意していた木で自分が絞首刑に処されたのでした。そして、自分もユダヤ人であることを明かしたエステルは、王からユダヤ人虐殺を止める勅令を許され、ペルシャ全土にいるユダヤ人は、恐怖から一変して喜びに変えられ、大いなる宴会が開かれました。ハマンは巧みに王に言い寄り、殺そうとする民族名を明かしていませんでした。ただ、「ある独特な民族が国にいて、その民族が王の法律に従わないでいる。このままでは国を脅かす存在になる」(同3:8,9参照)と申し出ていたのです。この一連の出来事でエステルとモルデカイの高潔さに触れた王はそれとは真逆のたび重なるハマンの巧妙さと傲慢さに気づいたのは間違いありません。すべては祈りに答えられた神の働きです。

今日私に与えられた聖書のメッセージです。

エステル記4章14節『もし、この時にあなたが黙っているならば、ユダヤ人への解放と救済は他の所から起こり、あなたとあなたの父の家は滅びるであろう。このような時のためにこそ、あなたは王妃の位に達したのではないか』・・・この物語の背景にあるのは、エステルの決意と勇気です。しかし、それだけでは事は成就しません。すかさず、その時にエステルがモルデカイにお願いした、町中のユダヤ人の神への断食祈祷です。この信仰による祈りが神様に聞かれたのです。ここに私たちの信仰生活の奥義が語られています。すなわち、この中に、神の計画が最初から進められているのを見ます。敵地であるペルシャが居心地があまりにいいのか、あるいは、バビロン捕囚があったのが、これよりさかのぼること120年以上も前なので、二世三世のユダヤ人の意識が低下していたのか、エルサレムへの帰還者がとても少なかったのです。エレミヤの預言のとおり、70年の捕囚帰還後に解放されたユダヤ人でしたが、最初のキュロスに働かれた神の恵みに応えたのはわずかの民だったのです。それで神は再三に渡って、神の民を保護してエルサレムに帰還させようと愛の御手を指し延ばされていたのです。これを機会に、このあとエズラとネヘミヤに委ねられたエルサレム再建計画に多くのユダヤ人が賛同して、帰還していきます。これも大きな神の計画でした。しかし、危機とはいえ、諦めずにその神のご計画に自由意思で果敢に従う人間の姿も私たちは見出さなければなりません。つまり、モルデカイのエステルへの懇願と、エステルのそれに応えた勇気、そして、それを何よりも同胞のユダヤ人たちと共に断食祈祷した人たちの選択が、神のご計画に大きく関与するという事実です。また、差別という点についても考慮すべきものがあります。現在イスラエルとハマスの戦いがありますが、最近元ハマスの指導者の息子が、国連でこのような発言をしました。

「パレスチナ人民の苦しみはあなた方(国連議決国)の利己的な政治的利益の結果だ。あなた方はパレスチナ人民の最大の敵だ。もしイスラエルが存在しなかったら責める相手がいなくなる。あなた方は、権力の濫用を維持するために紛争の炎を煽った。あなた方とパレスチナ人を災難から災難へ追いやったアラブ界の誤ったリーダーシップの結果が、この紛争の原因だ。この領土内の紛争の犠牲者であるパレスチナ人は、イスラエルが問題なのだと思い込まされた。紛争から利益を得ている、イスラエルと共存しようと思わない他のアラブ指導者たちが問題の原因だったのに、パレスチナ人は気づいていなかった。彼らは未だにこれが分からない。だから私たちは憎しみを抱き憎しみを投影しながら育った。独裁よりも民主主義がいい。イスラエルはこの地域で唯一の真の民主主義モデルだ。これは真実だ。そしてこれは現実だ。人権、女性の権利、あらゆる生き方の人々が共存できる。イスラエルにはアラブ人もいる。彼らはイスラエル国民であり、権利も与えられている。イスラムの礼拝も全く干渉されない。これは驚くべきことだ。アラブ諸国のどこにユダヤ人がいるというのか?どこに彼らのシナゴーグがあるのか?我々とは全く真逆の世界だ!」

 救い主イエス・キリストの愛そのものが、彼の心を捕らえました。この指導者の息子は劇的にイエス・キリストを信じクリスチャンになりました。エレン・ホワイトの言葉です。『エステルの時代に神の民を訪れた苦しい経験は、ただその時代だけのものではなかった。…各時代において、人々に真の教会を迫害させたと同じ精神が、将来も、神に忠誠をつくす者に対して同様の行動を取らせるに至るのである。現在でさえ、この最後の大争闘に対する準備が行われているのである。サタンは、一般の習慣や伝統を受入れない、少数の者に対して怒りを発する。地位の高い人々や有名人は、不法者や悪人に加担して、神の民に対して策略を練る。富を持った人、特殊の才能の持ち主、教育のある人などが一つになって彼らを軽蔑する』(国と指導者下209~210頁)終末時代にあって、神の守りと強い信仰の必要が語られました。エステルも、ハマスの息子も最悪の危機を救うためにこそ神から遣わされました。私たちもこの危機のために生かされていることを再度認識しましょう。

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