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何かおかしい!

  • 執筆者の写真: 耕司 大平
    耕司 大平
  • 2022年7月2日
  • 読了時間: 7分

2022年7月2日(土)    「何かおかしい!」   LT(Loving Time)大平耕司

 内村鑑三は、キリスト者として言論活動を生涯貫いた数少ない思想家でした。キリスト教の日本化を目指し、日本人に浸透させることを天職としてささげた人物でした。その生涯は、周りからの誤解と偏見にさいなまれ、時には国賊として蔑(さげす)まれました。内側から湧き上がる良心の叫びに忠実であろうとしたからでした。まさしく、バプテスマのヨハネのような「野に叫ぶ預言者」でした。苦難と迫害の中で、彼の信仰と思想はますます研磨され、明治の思想史に計り知れない足跡を残しました。弟子の中から、東大総長が2人(矢内原忠雄、南原繁)、文相5人(前田多門、安部能成など)を出し、他にも多くのリーダーを育てました。彼は、1861年3月23日に、上州(群馬県)高崎藩士内村宜之(よしゆき)の長男として生まれました。武士であった父親から厳格な儒教的教育を受けた彼は、5歳から「大学」(儒教の経典)を読み始めました。後に「武士道に接ぎ木されたキリスト教」を標榜する彼の思想は、幼い時に親しんだ儒教や武士道的倫理が元になっていたのです。彼が16歳の時、官費生募集に応じて、札幌農学校(北大の前進)の第二期生として入学しました。そして、上級生が勧めるままにバプテスマを受けました。同級生の中に新渡戸稲造がいました。その後、離婚などの精神的なダメージを癒すために、23歳のときに、アメリカに渡り回心の体験をします。しかし、理想を抱いてきたアメリカのキリスト教の現実は、彼を失望させました。友人が財布をスリにやられて、理想のキリスト教国にもスリがいると知り、愕然とします。そのうえ、人種差別を目の当たりにして、彼自身もジャップとあざけられたりしました。彼にとっては魂の故郷と信じていた幻の聖地であったアメリカに大きな失望感を感じることになります。それ以来、彼は日本人、日本文化を強く自覚するようになりました。彼を育んだ日本文化、武士道的風土は、アメリカのキリスト教徒よりも、キリスト教的だと思われました。彼は、「多くの点において、イエスとその弟子とを武士の模範と見ることができる」と言い、「日本的なキリスト教」のあり方を模索することになります。これが、生涯彼が主唱した「二つのJ」(JesusとJapan)です。彼の心の奥底にしみこんでいた愛国心とキリスト教が一つにつながったのです。28歳の時に、愛国心に目覚め、日本のために働く決意を固めての帰国でしたが、国賊と罵(ののし)られた「不敬事件」が彼を待ち構えていました。第一高等中学校(後の東大教養学部)の嘱託教員として働いた時のことです。天皇の神格化を強化したい明治政府の意図があり、官立の高等中学校に教育勅語が授与されました。そこに明治天皇直筆の署名があり、各教師がそれぞれ全校生徒の前で頭を下げ敬拝する儀式が行われました。彼は、勅語の前に出て、頭をちょっと下げたものの、礼拝はしませんでした。皇室に対する尊敬心はありましたが、天皇を神とすることとは別問題です。彼は、良心の声に従っただけですが、これが大問題となり、新聞も取り上げたので、批難の声は全国的に広まり、退職するはめとなりました。まもなく、妻も23歳の若さで先立たれ、絶望の淵に立たされましたが、その後、苦難を文書に表しました。彼は処女作『基督信徒の慰め』を出版し、世に問いました。「愛するものの失せし時」「国人に捨てられし時」「不治の病に罹りし時」などの見出しで、悶絶の苦しみの中の彼の内面を語りました。すべての試練は、当座は暗く悲しいものである。しかし、それを耐え忍んでたどり着いた先に待っている平安があると語りました(へブル12:11)。作家の正宗白鳥などは、この書に心底感動し、最高の小説として絶賛しました。その後、月刊誌『聖書之研究』などを通して、生涯にわたり膨大な著作を残しました。さて、彼が51歳の時、人生最大の試練に直面しました。最愛の娘ルツ子の死です。しかし、彼はルツ子の死を認めず、「今日この日は葬式ではなく、ルツ子が天に嫁ぐ結婚式です」と宣言し、参列者を驚かせました。さらに埋葬の時、彼は棺にかける土をつかみ、その手を天に高くさし出し、「ルツ子さん、万歳」と絶叫しました。その場にいた後の東大総長の矢内原忠雄は、雷に打たれたように立ちすくんでしまったといいます。彼は、再臨の希望、すなわちキリストが再臨すれば、ルツ子にまた会えるという希望を胸に、娘の墓に「また会う日まで」と刻み、その後、再臨運動を展開していきました。・・・1930年3月28日、家族と弟子たちに見守られ、無教会主義を貫いた内村鑑三は、69歳で息を引き取りました。かつて彼は、「後世に残すべきものは何か」と問い、それは「勇ましい高尚なる生涯」だと書きました。まさに、彼の生涯は、艱難は栄光に至ることを私たちに示してくれました(Ⅰコリント4:17)。

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今日私に与えられた聖書のメッセージです。

マタイ23章27節『律法学者とファリサイ派の人々、あなたたち偽善者は不幸だ。白く塗った墓に似ているからだ。外側は美しく見えるが、内側は死者の骨やあらゆる汚れで満ちている。』・・・イエス様の公生涯は、すべての面において、「何かおかしいよ!」と私たちに気づきのメッセージを投げかけられた生涯でした。この個所も、イエス様は、繰り返し、律法学者とファリサイ派の人々に、「あなたたちは、何かおかしいから、目を覚ましなさい」と愛の指導をなされた箇所です。その表れが、「あなたたち偽善者は不幸だ」という言葉です。この章で、6回も同じ言葉を繰り返しておられます。普段、穏やかなイエス様が、突如激しく怒って、痛烈な批判を加えられたのですから、ここは注意を向けるべき箇所です。よく考えてみますと、やはり愛のむちだと思います。なぜならば、イエス様の全生涯は、すべての人の罪の贖いのために十字架にかかられたことに集約されるのですから。・・バビロン捕囚されていたイスラエルの民がエルサレムに帰還して最初に律法を聖別したのは、紀元前450年の頃でした。この時期から、律法を学ぶことを職業とした人たちが、律法学者と呼ばれるようになりました。このあとまもなくして、ファリサイ人が現れました。律法学者が作り出した規則、規定を守ることに専念した人たちです。儀式ばった律法を形式通りに守るためにその生涯をささげた人たちです。律法の細則を守ろうとすれば、普通の生活はできません。一日中、決まりを守る生活に追われるのです。また、心の内面と外面を偽らないと両立はできません。なぜならば、私たちは罪があるからです。律法とは、聖書のモーセ五書に示された生活規定ですが、その中心は十戒に代表されます。律法は神様の愛のルールですからとても良いものです。しかし、自己中心の罪人にはそれを守れません。例えば、十戒に『殺してはならない』とありますが、相手に腹を立てたり、『ばか』『愚か者』と言えばアウトです(マタイ4:21,22)。また、『姦淫するな』とありますが、心の中でみだらな思いで他人を見ればこれもアウトです(マタイ4:27~30)。当時の律法学者やファリサイ派の人々は、人前で敬虔そうな恰好をし、上席を好み、人から先生と呼ばれ、頭を下げられることを好み、いかにも罪を犯さず、律法を守っているかのように表面だけ取り繕っていました。そして、人々を神様の元へ導くのではなく、建前と誤謬の悪魔の道に導き、神様への捧げものも最小のもの。そして、最も重要な預言者を認めようとせず、彼らを抹殺し、自分たちを高め暴利をむさぼっていました。その者たちに、「あなたたちは、何かおかしい。それは偽善者でありとても不幸なことだ。悪魔の策略、罪から目を覚ましなさい。悔い改め、目の前の救い主イエス・キリストを受入れ、永遠の平安と祝福の道に入りなさい」とイエス様はおっしゃったのです。

この二年半のコロナ禍による、狂った世の中の背後に、悪の勢力を見出した人はどれだけいるでしょうか。「何かおかしい」と感じた魂が皆無だとすれば、それこそ、この日本と我々の子孫はすぐにでも滅ぼされてしまうでしょう。この悪の勢力によって殺された日本人の数は、14万人に上ります。これからもっと増えるでしょう。また、難病に苦しんでいる人たちはそれ以上にいます。イエス様は警告されました。「その苦難の日々の後、・・人の子が大いなる力と栄光を帯びて天の雲に乗って来るのを見る。だから、目を覚ましていなさい。・・人の子は思いがけない時に来るからである」(マタイ24:42,44)。

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