2023年11月25日（土） 「神の愛と恵み！」 LT（Loving Time）大平耕司
神の残りの民、ユダヤ人がローマ帝国の支配とヘロデ一族の二重の支配によって苦しみ、メシア（救い主）の到来を待ち望んでいた時代、神は御自身の大切な御子イエス・キリストを民に捧げました。イエス・キリストは、神の民イスラエル民族の王ダビデ家の子孫です。信仰の父と呼ばれるアブラハムからダビデまで14代です。そしてダビデからバビロン捕囚という屈辱まで14代。さらにそれから14代目に当たるのがイエス・キリストです。このイエスの系図は、新約聖書の最初の記事、マタイによる福音書の一番初めに書かれています。ガリラヤ地方のナザレという町に住むマリアは、ダビデの子孫で大工のヨセフと結婚の約束をしていました。そのマリアに天使ガブリエルが現れて、このように言います。「おめでという、恵まれた方、あなたは神から恵みをいただいた。あなたは身ごもって男の子を産む。その子をイエスと名づけなさい。彼は偉大な人になり、その支配は永遠に終わることがない」（ルカ1:28～33）。驚いているマリアは、「どうして、そのようなことがありえましょうか。私は男の人を知りませんのに」と天使に答えます。すると天使は、「聖霊があなたに降り、いと高き方があなたを包む。だから、生まれる子は聖なる者、神の子と呼ばれる。・・神にできないことは何一つない」（ルカ1:34～37)と答えました。つまり、超自然的な神の聖霊によってマリアは神の子イエス・キリストを身ごもり出産すると告げられたのです。マリアは、「私は主の仕え女です。お言葉どおり、この身になりますように」（ルカ1:38）と喜びを伝えました。このことを知り、困惑している婚約者であるヨセフにも、夢の中で天使が現れました。「ダビデの子、ヨセフ、恐れずマリアを迎え入れなさい。マリアの胎の子は聖霊によって身ごもったのである。マリアは男の子を産む。その子をイエスと名付けなさい。この子は自分の民を罪から救うからである。・・・見よ、おとめが身ごもって男の子を産む、その名はインマヌエルと呼ばれる。この名は、神は我々と共におられるという意味である」（マタイ1:21～23）と告げられ、マリアを迎え入れます。・・さて、その頃、ローマ帝国は広大な領土の民族を登録する法令を出します。その命令に従い、ダビデの子孫であるヨセフもナザレから生まれ故郷であるベツレヘムへ帰り、登録をしました。そのベツレヘム滞在時に、イエス・キリストが誕生したのです。ヘロデ大王がこの知らせを東方の博士たちに聞いた時に、聖書のメシア（救い主）預言を祭司長や律法学者たちに調べさせました。「メシアはどこに生まれることになっているか？」というヘロデに対して、彼らは「ベツレヘムです。預言者がこう書いています。『ユダの地、ベツレヘムよ、お前はユダの指導者たちの中で、決していちばん小さいものではない。お前から指導者が現れ、私の民イスラエルの牧者となるからである』」（ルカ2:3～5）と答えます。これは、旧約聖書のミカ5章1節からの引用です。この預言のとおりに、不思議と神は、ローマ皇帝を通して、ヨセフとマリアをベツレヘムの地に帰し、そこでイエスを誕生させています。預言が成就するためです。神のご計画は必ず成ります。
聖書物語の中心点は、罪に陥った人類の救済です。そのために神はどのような計画を考えられたのでしょうか。悟らない愚かな人間に対して、分かりやすく恵みと救いを与えるために、ご自分の御子イエス・キリストをこの地上に送られたのです。神であるお方が、人間の姿をお取りになり、人間の言葉で語られ共に生活をされることを通して、人類に救いを教え導かれたのです。神が人間をお造りになられた真の意味を、イエス・キリストの生涯を通して私達に分かりやすく教えられました。・・神は最初の人間アダムをお造りになられたときに、このように言われました。「我々にかたどり、我々に似せて、人を造ろう」（創世記1:28a）。そして、イエス様は弟子たちに教えられました。「あなたがたに新しい掟を与える。互いに愛し合いなさい。私があなたがたを愛したように、あなたがたも互いに愛し合いなさい」（ヨハネ13:34）。神が一番に望んでおられることは、互いに愛し合うことです。イエス様はその生涯を通して、人間を愛しとおされました。
今日私に与えられた聖書のメッセージです。イザヤ書55章8、9節『私の思いは、あなたたちの思いと異なり、私の道はあなたたちの道と異なると、主は言われる。天が地を高く超えているように、私の道は、あなたたちの道を、私の思いは、あなたたちの思いを、高く超えている』・・・神は、最初に人間を御自分に似せた存在としてお造りになりました。互いに愛し合う存在として、尊い働きができる存在として、慈しみと憐みを併せ持った存在として、神の栄光を現わす存在としてお造りになったのです。それが、アダムとエバの堕落によって、罪がこの世に入り、私たちのDNAにこびりつき、悪魔の性質を帯びる存在へと変えてしまいました。その罪の結果は、今までの人間の歴史の中で表わされています。旧約時代の神の民の歩みを見ても明らかです。その罪の影響は数千年の時を経て、最悪の一途をたどっています。戦争、テロ、凶悪犯罪、モラルの破壊など、その罪の邪悪さのゆえに神が最初に造られた人間の性質は、はげしくゆがめられてしまいました。神がその最初に言われた、「我々に似せて、人を造られた」その性質は、“愛”そのものでした。
「キリストは、人間がサタンの残虐な行為の犠牲となっているのを、憐れみをもってごらんになった。彼らの選んだ支配者は彼らを捕虜としてくびきにつないだ。あざむかれ、途方に暮れながら、彼らは暗い行列をつくって永遠の滅亡――生きる望みのない死、朝のおとずれることのない夜へ向かって歩き続けていた。悪霊が人間と一体となっていた。神の住居としてつくられた人間の体は悪魔の住居となっていた。人間の感覚、神経、欲望、器官は、超自然の力によって、最もいやしい情欲をほしいままにするために働かされた。…人間の顔は、その身を占領している大勢の悪霊の表情を反映した」（各時代希望上27頁）
エバがその初めに、神の愛への選びに失敗し、欲望を満たす禁断の木の実を選び、悪魔への従属を選んだことから人類の悲劇は始まりました。今、全世界を揺るがしている大問題は、イスラエルとハマスとの戦争です。ハマスによって240人のイスラエル人が人質となって連れ去られました。イスラエル人は1400人以上が殺されています。現在イスラエル軍は、人質救出作戦としてガザ地区を攻撃していますが、ハマスがその攻撃の楯としているのは、同じ民族である住民です。ハマスは、卑怯にも病院の地下を本拠地にしています。ガザ地区住民自身が選んだハマスにより、その住民たちがハマスの楯にされているのです。何という闇の世界でしょうか。人間の悪魔支配の歴史は現代でも受け継がれています。この戦争にはさらに奥深い裏側で、どす黒い国々の政治的策略がうごめいています。しかし、このままでは終わりません。聖書の預言は必ず実現するからです。エレン・ホワイトが続けて述べます。「サタンは、人間のうちにある神のみかたちをいやしいものにすることに成功したと狂喜していた。その時イエスが、人間のうちに創造主のみかたちを回復するためにおいでになったのである。罪のために堕落した品性を新しく形づくることができるのはキリストよりほかにない。主は人間の意思を支配していた悪霊を追い出すためにおいでになった。主はわれわれを塵（ちり）の中から起し、けがれた品性をご自分のきよい品性に型どってつくり直し、ご自分の栄光をもってそれを美しいものとするためにおいでになった」（各時代希望29頁）。パウロが人間の性質と神のご性質をはっきりと言い表しています。「肉の業は明らかです。それは、姦淫、わいせつ、好色、偶像礼拝、魔術、敵意、争い、そねみ、怒り、利己心、不和、仲間争い、ねたみ、泥酔、酒宴、その他このたぐいのものです。…このようなことを行う者は、神の国を受け継ぐことはできません。これに対して、霊の結ぶ実は愛であり、喜び、平和、寛容、親切、善意、誠実、柔和、節制です。これらを禁じる掟はありません」（ガラテヤ5:19~23 ）。つまり、罪の人間の性質は、「今だけ、金だけ、自分だけ」なのに対し、神は、「いつでも、愛だけ、あなたも」なのです。
神は私たちよりもはるかに高みにある愛のお方であり、私たちをその尊い神の形へと変えて下さるお方なのです。『神は、その独り子をお与えになったほどに、世を愛された。独り子を信じる者が一人も滅びないで、永遠の命を得るためである。』（ヨハネ3:16）