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神権政治!

  • 執筆者の写真: 耕司 大平
    耕司 大平
  • 2023年10月7日
  • 読了時間: 7分

2023年9月30日(土)     「神権政治!」    LT(Loving Time)大平耕司

列王記上18章21a節『エリヤはすべての民に近づいて言った。「あなたたちは、いつまでどっちつかずに迷っているのか。もし主が神であるなら、主に従え。もしバアルが神であるなら、バアルに従え。」』・・・これは、ソロモン王が死んだあと、南北に分裂したイスラエルの王国での出来事です。ソロモンの後は、内乱が勃発し、王の息子レハブアムに従ったのは、ユダとベニアミン族でした。この内乱の時、イスラエル王国の王となったのは、十部族を率いたヤロブアムでした。彼はソロモンの神殿に対抗して金の牛の像を設置しました。異なる民族で構成された国民をまとめるために、カナン人の信仰とイスラエル人の信仰を融合させようとしたのです。しかし、これは、イスラエル人の異教化につながりました。その後、次々と王が代わり、七代目となったのはアハブでした。彼は、王国の分裂以来続いてきた南のユダ王国との冷戦状態を改善し、両王国の子に婚姻関係を結ばせることで新たな友好関係を結びました。その後、アラム人に占領されていた町を奪還、アッシリアの脅威を取り除くなど、国勢を取り戻しました。また、通商も盛んで北イスラエル王国は大いに富み栄えました。そのアハブの統治下に預言者エリヤがいました。王国に始祖伝来の神の信仰を思い起こさせることに生涯を捧げた人物です。エリヤはイスラエル王国分裂以来続く異教への信仰を受け継ぐアハブを責め、様々な預言をしました。王の妃イゼベルの意向によって、アハブが異教の神バアルの神殿を建て自らも礼拝した時、エリヤは王に神からの託宣を受け、干ばつを預言します。そして三年後、バアルの司祭との対決を行います。干ばつによって、北イスラエル王国は飢饉の最中でした。アハブ王は自分の背教が原因でこのような事態になっているのを、エリヤのせいにしてこのように言います。「お前か、イスラエルを煩わす者よ」(列王記上18:17)。しかし、エリヤは臆せずこのように言い返します。「私ではなく、主の戒めを捨て、バアルに従っているあなたとあなたの父の家こそ、イスラエルを惑わしている。今イスラエルのすべての人々を、イゼベルの食卓に着く四百五十人のバアルの預言者、四百人のアシュラの預言者と共に、カルメル山に集め、私の前に出そろうように使いを送っていただきたい」(同18:19)。それでアハブ王は、イスラエルのすべての人々に使いを送り、預言者たちをカルメル山に集めました。もちろん、それぞれ各部族の代表者たちも集まりました。その時に、エリヤはすべての民に近づいて言いました。冒頭の言葉です。「あなたたちは、いつまでどっちつかずに迷っているのか。もし主が神であるなら、主に従え。もしバアルが神であるならバアルに従え」(同18:21)。そして続けて言います。「我々に二頭の雄牛を用意してもらいたい。彼らに一頭の雄牛を選ばせて、裂いて薪の上に載せ,火をつけずにおかせなさい。私も一頭の雄牛を同じようにして、薪の上に載せ、火をつけずにおく。そこであなたたちはあなたたちの神の名を呼び、私は主の御名を呼ぶことにしよう。火をもって答える神こそ神であるはずだ」(同18:23)。民は皆、「それがいい」と答えました。果たしてこの結果はどうなったのでしょうか?まず、最初にバアルの預言者たちは、狂ったように彼らの神を呼び求めますが、答えられません。とうとう、朝から夕方近くまで、最後は自らを剣で傷つけながらバアル神に祈りますが、何にも起こりませんでした。エリヤは彼らに皮肉を言います。「大声で叫ぶがいい。バアルは神なのだから。神は不満なのか、それとも人目を避けているのか、旅にでも出ているのか。恐らく眠っていて、起こしてもらわなければならないのだろう」(同18:27)。そこで、エリヤは民を近くに来させ、壊されていた主の祭壇を修復するために、イスラエルの12部族に従って12の石を取り、その石を用いて主の祭壇を築き上げました。薪とその上に切り裂かれた雄牛を置き、さらに、その上から水を三回もかけさせました。そして、いよいよエリヤが神に祈ります。「私に答えてください。主よ、私に答えてください。そうすればこの民は、主よ、あなたが神であり,彼らの心をもとに返したのは、あなたであることを知るでしょう」(同18:37)。そうしますと、神からの火が天から降ってきて、焼き尽くす献げ物と薪などを燃やしてしまいました。それで、それを目の当たりにした民全体は、ひれ伏して、「主こそ神です。主こそ神です」(同18:39 )と言いました。そして、バアルの預言者450人は滅ぼされてしまいます。預言者エリヤはアハブ王に言います。「上って行って飲み食いしなさい。激しい雨の音が聞こえます」(同18:41).。その預言のとおり、そのあと大雨が降ります。干ばつの終わりです。王と民は、これで大喜びし、悔い改めて、イスラエルの神の下にひざまずいて礼拝をしなければなりません。しかし、そうではありませんでした。これで一件落着かと言いますと、その後の物語が続きます。

王がカルメル山からイズレエルの宮殿に帰り、このことを妃のイゼベルに伝えると、イゼベルは悔い改めるどころか、自分のバアル神の預言者を皆殺しにされたというわけで、烈火のごとき怒り、エリヤを殺すように命令します。エリヤはこのことを伝え聞くと、あわてて逃げ、はるか南のべエル・シェバまで逃れます。南王国ユダの南方です。従者をそこに残し、自分は一人でそれから一日の道のりを歩いて荒れ野の木の下に座ります。もうくたくたです。「主よ、もう十分です。私の命を取ってください。私は先祖にまさる者ではありません」(同19:4)。そう言って眠ってしまいました。なんという急展開でしょうか。私たちも理解に苦しみます。エレン・ホワイトの言葉です。「エリヤは彼のいるべき場所を逃げ出してはならなかった。彼は主の栄誉を擁護することを彼にお命じになったお方の保護を仰ぎ求めて、イゼベルの威嚇に立ち向かわなければならなかった。彼は自分が信頼している神が、女王の怒りから彼を保護してくださることを、使者に告げるべきであった。彼が驚くべき神の力のあらわれを目撃してから、まだほんの数時間しかたっていなかった。・・主はイゼベルに刑罰をお与えになって、もう一つの著しい勝利をお与えになったことであろう。そしてそれは、主や国民に深い感銘を与えて、大いなる改革を引き起こしたであろう」(希望への光、452頁)

その後、エリヤは神が遣わされた天使によって食べ物を与えられ、モーセが十戒を与えられたシナイ山まで逃れ、ほら穴に身を隠します。そこで、神が語りかけられます。「エリヤよ、ここで何をしているのか」。エリヤは答えます。「私は万軍の神、主に情熱を傾けて仕えてきました。ところが、イスラエルの人々はあなたとの契約を捨て、祭壇を破壊し、預言者たちを剣にかけて殺したのです。私一人だけが残り、彼らはこの私の命をも奪おうとねらっています」(同19:13b~14)。そしたら、神が答えられます。「しかし、私はイスラエルに七千人を残す。これは皆、バアルにひざまずかず、これに口づけしなかった者である」(同19:18)

聖書は、いわば「神権政治」であることを私たちに告げています。この世は、神が統治されて、神のご意志によって治められています。しかし、実際はその下で、人間の独断と偏見により政治が行われています。神の民イスラエルは、アブラハムに神の言葉が語られてから、神の統治は知らされていました。モーセ五書も与えられ、律法の書に従って歩むように指示されましたが、幾たびも神のご意志に背いて人間による独裁政治や世俗主義が横行し、そのたびに神が預言者を通して、介入されています。イエス様が現れて、その人間社会での生き方を教えられました。イエスの時代、ある時にこのようなやり取りがありました。ローマに支配されていた神の民ユダヤ人です。彼らが、「ローマの皇帝に税金を納めるのは、律法に適っているでしょうか?」とイエス様に質問しました。それで、イエス様は、「あなたがたが使っている銀貨には誰の肖像が刻まれているか?」。ユダヤ人、「ローマ皇帝のものです」。イエス様、「では、皇帝のものは皇帝に、神のものは神に返しなさい」(マタイ22:17~21)と言われました。イエス様は、そこに罪ある人間社会で生きる知恵と、神に従う歩みを示唆されました。エリヤのように日々、雑事に揺れ動く私たちの心ですが、神が共にいて下さることを信じて、主に従って歩みたいものです。

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